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生徒のはしゃぐ声が遠くに聞こえる、昼休みの保健室。
静かで清潔な空気の中、ベッドの上、布団もかけず眼を閉じている銀の髪を持つ女子生徒が一人。
ゆっくりと眼を開けると…
「……何をしている」
いつの間にか、潮にいわゆる馬乗り体制な保健医。
冷たく睨む。
またか、との気持ちも込めて。
「ん?保健の授業v天宮君はもしかしたら未履修なんじゃないかと思いまして(ニコニコ)」
「そんな事は無い(きっぱり)」
というかそんな時事ネタを出すな千里よ。
「なーんだ、じゃあ僕が特別授業を…」
自分のネクタイを緩めて潮に顔を近付ける…
バシン。
顔の真正面から平手打ち。
「~~っ!いってー;;」
「勝手に何する気だ!?」
「ハイハイ分かってますよー冗談ですよ~」
鼻歌交じりにベッドから離れてパソコンの方へ向かう千里。
そのとき、
「すいませーん」
「先生ー絆創膏ちょうだい~」
自動ドアが開いて、二人の女子生徒が入って来た。
「おー?ホイホイちょっと待ってねー、あ、名前書いといて」
「はぁーい」
「消毒は?いる?」
「わー先生優しーv」
その様子をぼーっと潮は個室から見ていた
「あははーいやいや(笑)」
「ありがとうございましたぁ~」
3分程で、女子生徒たちは帰っていった。
「(……なんだ?)」
潮のは自分の心臓に、違和感を覚えていた。
奇妙な、何か刺さるような痛みと、早くなる鼓動。
感じた事の無い…
…いや、無いわけではなかった。
「……っ!」
顔を少ししかめて、さっと上着をはおると、足早に個室を出た。
「おや、どうしたんですか?」
「別に。サヨナラ、先・生。」
自動ドアを開ける。
「天宮君」
無表情を作って振りかえる。
「カラダには、気をつけるんですよ。変な事、するなとは言わないですけどね」
「別に…」
「僕には大切な身体なんですから」
何を言うんだ。
何、考えてるの?
読めない目線。
でも、ただまっすぐこっちを見るから…
そのまま何も言わずに廊下へ足音は消えた。
あの痛みは…
あの気持ちは……
灰音だけに捧げた、嫉妬心だと決めていたのに。
「灰音…」
名前を呟き、ネクタイをギュッと抱く。
また、同じ痛みが潮の胸を走った。
(おしまい)
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