カレンダー
04 | 2024/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
フリーエリア
最新記事
(01/25)
(12/31)
(12/07)
(12/07)
(12/06)
最新TB
プロフィール
HN:
綾瀬ユキ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
雨はまだサラサラと続いている。
「よい…しょっと」
まおらは太い枝に手をかけ、木をゆっくりと登っていく。
昔からおてんばだったまおらだが、さすがに高校生ともなれば身体も少し重い。
くぼみに足をひっかけて、ようやく猫の近くまで来ることが出来た。
下から見上げる真栗。
こういう時は男が行くもんだろ。
でもあいつは昔っから言い出したらきかねぇんだよな、
っていやいや、あいつも男だっつーの………
なんて事を考えているうちに、まおらはどんどん登っていく。
「大丈夫けーー?!!」
大声で呼ぶ。
「シーーーっ!!!(ばかまぐーっ!!)」
「ウゥ~……」
こちらに気付いて小さく猫がうめく。
しっぽが立って、警戒しているようだ。
「ホラ、おいで……こわくないよ」
動物と仲良くなるのは割と得意なまおら。
優しく話しかけながら手を伸ばしたが、猫は不機嫌なままで、あと少し届かない。
「う~…(もうちょい近くに…)」
もう一歩上の方に片足をかけ、左手を伸ばして…
(…せーのっ!)
一気に猫の胴を掴み、抱え込んだ。
「ミャ、ミャア、ミギャァァ!!」
逃れようと必死に腕の中でもがく猫。
「わっ、ちょ、ちょっと、暴れないでっ!!」
「ほら馬鹿っ、早く渡せっ!!」
「んー;はいっ!」
なんとか猫を真栗に渡した。
「ミャ、ミャ!!ミャー…ミー……」
猫は真栗の左腕の中になんとか落ち着いたようだ。
「ふぅー;」
二人のため息が重なる。
「油断して落ちんなよ」
「わーかってるよ!」そう言って降りていった………
が、最後の一歩を下ろそうとした瞬間。
油断したのか、雨で、足がつるっと行き場を失った。
後ろ向きのまま、木から手が離れる…
「ひゃあっっ!!!」
………ボスッ。
「……~~~っ;」
「…あのなぁ………;」
左腕には猫を抱いたまま、真栗の右腕がまおらを受け止めていた。
「ごっ、ゴメン…;」
突然の出来事……
そしてそれ以上に、その真栗腕の強さに、まおらは自分の心臓の音をどきどきと大きく感じた。
(あれ、なんか……こんなにこいつ、大きかったっけ…)
「…なんだよじろじろ見て;」
「んっ?いや…!なんでもない」
目を見られて、ちょっと下を向く。
「そうか?つーか、こいつどうするか…」
「見せて…」
猫の怪我は、命にかかわるものではないようだが、脇腹をどこかにぶつけてしまったようだ。
元気があるとは言えない。
「お医者さん連れてかないと…!」
「じゃあ、とりあえずうち来るか?」
「へ?」
いきなりの話に、まおらは目を丸くした。
「だってお前、その格好じゃ家にも帰れねぇだろ」
「あ……;」
雨の中木に登ったのだから、当然の如く、制服は雨でひどく濡れ、ところどころには泥が付いている。
まおら自身も服には非常にこだわるのだが、まおらの両親はデザイナー。
服への情熱はまおらの比では無い。
もしこんなに制服を汚したのがバレたら……!!
「ちょっとヤバい…かも………;」
「だよな。俺んち行って、車出してもらおう」
「う、うん………」
そう言って二人は真栗の家に向かった。
(つづく)
「よい…しょっと」
まおらは太い枝に手をかけ、木をゆっくりと登っていく。
昔からおてんばだったまおらだが、さすがに高校生ともなれば身体も少し重い。
くぼみに足をひっかけて、ようやく猫の近くまで来ることが出来た。
下から見上げる真栗。
こういう時は男が行くもんだろ。
でもあいつは昔っから言い出したらきかねぇんだよな、
っていやいや、あいつも男だっつーの………
なんて事を考えているうちに、まおらはどんどん登っていく。
「大丈夫けーー?!!」
大声で呼ぶ。
「シーーーっ!!!(ばかまぐーっ!!)」
「ウゥ~……」
こちらに気付いて小さく猫がうめく。
しっぽが立って、警戒しているようだ。
「ホラ、おいで……こわくないよ」
動物と仲良くなるのは割と得意なまおら。
優しく話しかけながら手を伸ばしたが、猫は不機嫌なままで、あと少し届かない。
「う~…(もうちょい近くに…)」
もう一歩上の方に片足をかけ、左手を伸ばして…
(…せーのっ!)
一気に猫の胴を掴み、抱え込んだ。
「ミャ、ミャア、ミギャァァ!!」
逃れようと必死に腕の中でもがく猫。
「わっ、ちょ、ちょっと、暴れないでっ!!」
「ほら馬鹿っ、早く渡せっ!!」
「んー;はいっ!」
なんとか猫を真栗に渡した。
「ミャ、ミャ!!ミャー…ミー……」
猫は真栗の左腕の中になんとか落ち着いたようだ。
「ふぅー;」
二人のため息が重なる。
「油断して落ちんなよ」
「わーかってるよ!」そう言って降りていった………
が、最後の一歩を下ろそうとした瞬間。
油断したのか、雨で、足がつるっと行き場を失った。
後ろ向きのまま、木から手が離れる…
「ひゃあっっ!!!」
………ボスッ。
「……~~~っ;」
「…あのなぁ………;」
左腕には猫を抱いたまま、真栗の右腕がまおらを受け止めていた。
「ごっ、ゴメン…;」
突然の出来事……
そしてそれ以上に、その真栗腕の強さに、まおらは自分の心臓の音をどきどきと大きく感じた。
(あれ、なんか……こんなにこいつ、大きかったっけ…)
「…なんだよじろじろ見て;」
「んっ?いや…!なんでもない」
目を見られて、ちょっと下を向く。
「そうか?つーか、こいつどうするか…」
「見せて…」
猫の怪我は、命にかかわるものではないようだが、脇腹をどこかにぶつけてしまったようだ。
元気があるとは言えない。
「お医者さん連れてかないと…!」
「じゃあ、とりあえずうち来るか?」
「へ?」
いきなりの話に、まおらは目を丸くした。
「だってお前、その格好じゃ家にも帰れねぇだろ」
「あ……;」
雨の中木に登ったのだから、当然の如く、制服は雨でひどく濡れ、ところどころには泥が付いている。
まおら自身も服には非常にこだわるのだが、まおらの両親はデザイナー。
服への情熱はまおらの比では無い。
もしこんなに制服を汚したのがバレたら……!!
「ちょっとヤバい…かも………;」
「だよな。俺んち行って、車出してもらおう」
「う、うん………」
そう言って二人は真栗の家に向かった。
(つづく)
PR
この記事にコメントする