04 | 2024/05 | 06 |
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「なぁ・・・」
「ん?」
うっすらと眼を開ける。
「いつからだ?」
「何が」
まおらの髪を上げる。
おでこにキス。
「こうやってしたいって・・・思ったの」
「うー・・・;///」
おでこをこすって、背中を向ける。
「内緒っ」
「聞かせろよ」
距離を縮める。
まおらの細い首筋が見える。
本能的に、そこに顔を寄せる。
「絶対真栗覚えてないもん」
「聞かなきゃわかんねぇだろ」
「そーだけどさぁ・・・」
ふと、窓の外を見れば、きれいなお月様。
あの日を思い出す。
まおらは目を閉じて、ゆっくり彼を胸に抱いた。
「じゃぁ・・・ちょっとだけね・・・・・・・・・」
眠りにつくまで、話をしよう。
過去の、いまの、これからの。
心をほどいた、素肌のままで。
...end
一声で、しーんとなるクラス。
どうするのかなーとちらっと横目で真栗を見た。
…いままで見た事ない、マジメな表情。
あれ、真栗って、こんな顔してたっけ……
…少し、耳と頬に熱を感じた。
だってこいつ、前より……
「って、何ぼーっとしてんだ?ほらさっさと進めろよ馬鹿」
「なっ…!分かってるよー!」
「ひそ…(大丈夫だから)」
「…!」
…っ、何言ってるんだもう~;
妙に心臓がドキドキ言ってた。
何故だかは分からない…分からない振りをしていたけれど。
でも、魔法みたいに、ホントに、大丈夫になったんだ。
ちょっと笑って僕は言う。
「はい!じゃあ多数決とるね!真栗っ黒板書いて!!」
「命令すんなボケ~」
あきれた顔で、真栗はチョークを握った。
「…以上で今日の運動会の話し合いはおわりです!」
あっと言う間に時間は経った。
やってしまえば学級委員なんて簡単なものだった。
時にはかなり揉めたりもしたけれど、最後にはちゃんと無事解決☆☆
やっぱり僕にはこういうの、向いてるみたい。なんてね♪
それに…
「真栗、学級ノート書けた?」
「うーるせ、ちょっと待てよ」
「みんな先にサッカー行ってるってよ~」
「だーもう、黙ってろ~!!」
君がいつからか、また自然に隣りにいたから。
…なーんかお互い、いつもチクチクしてるんだけどさ。
けれどもたまに…ほんとにたまに、君の後ろ姿を見てたりするんだ………
そんな二人は経験を積んで、ついには小学校の生徒会長と副会長にまでなり、高等部では生徒会に入ったのです……なんて事は、またしばらく後のおはなしなのでした***
(おしまい)
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そんなのが聞こえる、ある日の帝国学園生徒会室、PM4時15分。
「…まおちゃん、大丈夫?」
「う~、だるい~~;;」
外は雨降り。
生徒会室には、机に突っ伏す、絶不調な女の子が一人。
その実は男の子だったりするのですが。
「雨は嫌い!だって外で遊べないもん!!」
突っ伏したまま、片目だけ開けてまおらが言う。
「お前は子供か(笑)」
と高明。
「潮は好きだよねv」
「………(コクリ)」
「昔っからそうなんだよなー。雨が降る度に不機嫌になって、こいつ昔な…」
「やーめーろ!!!!(怒)」
バコッ!!
ソファにある巨大な熊のぬいぐるみで真栗を殴打。
キュ~…
真栗は戦闘不能!
しかし誰も気にしない!(毎度)
ちなみにこのぬいぐるみは、まおらの誕生日にFanの生徒達が持ってきたものである。
日々まおらは(色々な意味で)愛用している。
「まぁ今日は特に生徒会の仕事もあまり無いし…先帰っててもいいぞ?」
「まおら帰る~ごめんしーずんー」
「気をつけてねまおちゃん」
「大丈夫ー車呼ぶし~」
…うわ、金持ち………なんて思ったのは灰音だけなのだが。
(つづく)
遠足の決め事をする学級会。
黒板の前に立つ僕の隣には……不機嫌な金髪。
「じゃあ、班はくじ引きでいいですかー?」みんなに呼び掛ける。
「えー好きな人とがいい~」
「それじゃあ余っちゃうかもしれないじゃん」
「くじ引きにしようよー」
「あー先生ー笠宮くんがゲームしてるよ~」
「先生さっき変な顔してどっか行っちゃったじゃん」
「ねー今日遊べるー?」
「………」
僕は甘くみてたかもしれない…
こんなに、こんなにまとまらないなんてー!!
うー、コレを一人でまとめなければならないのか……
…パシ。
後頭部をいきなり叩かれた。
「いっ、たーい!何すんのよいきなり;」
犯人は真栗だって事は分かってたのだけれど。
「(馬鹿、そんな顔してたって始まんないだろ?)」
ひそひそと耳元で真栗が言う。
そんな顔。どんな顔してたのだろう。
「(分かってるけどさ~;)」
…あまり分かってはいなかったけど。
ちょっと息を吸う真栗。
…バン!
教卓を両手のひらで一発。
「おい、そんなバラバラだと遠足行けないぞ?遠足行きたいんだろ?」
びっくりした。
けど同時に、妙に優しい口調の真栗に不抜けがしてしまった。
ここは怒鳴るトコかと思ったのに…真栗のお父さんコワいし……(笑)
(つづく)
真栗はびっくりした顔で立ち上がった。
「何って、聞こえなかったの?やって言ってるの。学・級・委・員!」
「やるのは構わないけどなんでお前となんじゃ!!」
「べっつに良いでしょー!?やるの?やらないの!?」
キッと真栗を睨む。
ケンケンゴウゴウと言い合う僕らに、みんなは唖然としてる。
小学校に入ってからは僕と真栗は全然喋ってなかった。
だから、僕らがこんな風に言い争ってるのを見て、みんな何事かとびっくりしてるらしい。
しかし先生は…
「あらまあーっ!仲が良いのね!!是非やってくれるわね辻宮くん(はぁと)」
手をギュッと胸の前で組んで、キラキラした眼でこっちを見てる。
『どこが!!!』
真栗と声がぴったりとハモった。
しかしボケボケな新米教師の耳には入っていない様だ。
「はいっ、じゃあこの二人で良いと思うヒトっっ!」
『は~~い!!』
全員挙手ってみんな…。
…真栗が、溜息をついた。
(つづく)
まあ、クラス替えが無かったのだから当然と言えば当然だけれど。
でも、結局仲直りはできないままで、会っても相変わらずお互いしらんぷり。
遊んだ事も一回も無かった………
キンコンカンコン…
「えっ…と、みんな!今日は学級委員を決めたいと思います!!」
新米教師の担任が言った。
「みんなで話し合いをする時のリーダーになってもらう人を決めるの。だからみんなでよく相談して決めてね」
「ひそ…(ね、まおちゃんやったら?)」
隣の席の女の子が言う。
「(えーっなんで!?)」
「だってまおちゃんみんなの人気者じゃん」「そんな事ないよー!」
話しながらちらっと窓際に目をやる。
真栗はあの髪と包帯のせいでみんなに一目置かれ、なんとなく近寄りがたい存在になっていた。
普段はフツーにみんなの輪の中にいてサッカーとかしてるけど、時々ぼーっと一人で、窓の外を眺めてる。
まったく、なーに考えてるんだろ…
「…と言う訳で、一ノ宮さんやってくれるかな?」
担任に名前を呼ばれて現実に戻る。
「えっ、あ、何?!!」
「だから~学級委員だよ~!!」
と女の子。
「えっ、まおらが!?」
そういえばいつの間にか一人称がまおらになっていた。
まあ、それはどうでも良いのだけれど。
パチパチ…と拍手が起きる。
まあ、いいんだけどさー。
「じゃーやりますー」
実は、ちょっと面白そうとか思ってたり。
「良かったわ~vじゃ、あと一人決めなきゃねぇ。」
ざわざわ…なかなか名前があがらない。
僕もちょっと困って来た。
…パチ。
片肘をついていた真栗と目があった。
「あ…」
……話しかけようとした瞬間、ぷいとそっぽを向かれた。
……あっったま来たぁ~~!!!!
なんだよっ!あんな態度する事無いじゃん!
確かに、始めに怒っちゃったのは僕だけど。
もう、決めた。
「はい、先生」
挙手。
「まおら、もう一人は真栗くんが良いと思います」
ざわっ。周りの目線が真栗に注がれた。
「なっ、何言っとるんじゃけ!!?」
真栗が立ち上がる。
(つづく)
こんにちわ。一ノ宮由貴、7歳です。
性別は………諸事情により、女の子です―――――――
僕が女の子になれたとパパから認めてもらってから、一か月。
うなっていたママも今では、すっかりこんな僕に慣れて、可愛いワンピースやリボンなんかを見つけると、つい買ってきてしまうらしい。
別に今までのTシャツとかズボンも着たっていいんだけれど、なんとなく部屋の隅に畳んで置いてある。
そして今日も、鏡を見て髪に二つリボンを結ぶ。
だって……アイツに早く認めさせなきゃなんないから。
「おはよー!」元気に教室に入る。
「あ、まおちゃんおはよー」
「おはよ、まおら」
小学校に入学したての時にみんながつけた名札、僕はそれに大きく「まおら」って書いた。
「あら、一ノ宮さん、名前には「ゆき」って書くのよ」
この担任はしょっぱなから僕を女の子だと思ってるみたい。
いいや、この際、どこまでごまかせるか試してみよう。
「いいんだ、あたし「まおら」で。」
「えっ、でも…」
「だってもう書いちゃったもん」
きかない僕に、先生はあきれてそのままどこかに行ってしまった。
おかげというかなんというか、入学から一年経った今ではすっかりみんな僕を「まおら」って呼んでる。
チャイムが鳴って、今日も一日が始まった。
(つづく)
「・・・・・・なーーーーーーによっもう!!!あーんな言い方しなくてもいいじゃん。
まぁ、いいや。どうでもいい。あんなやつのことなんてどうでもいいからさっさと終わらせちゃお」
一息にぼそぼそと呟きながら、席に戻る。
カリカリカリ・・・カリカリ・・・・・・・ カリ・・・・
「・・・・・・ばかまぐり」
本当は、自分に対して怒っていた。
プライドが高い自分が、真栗に八つ当たりをしてしまった事。
一人になって、われに返って素直になって、
‘こんな自分大嫌い’
そう強く思った。
ポロッ・・・
ほんの一滴だけ、涙がひざに落ちた。
けれどもそれは続く事はなかった。
服の肩でちょっと目元を拭うと、まおらはまたゆっくりと仕事を続ける。
ふと、懐かしい甘いかおりがまおらの鼻をかすめた気がした。
瞬間、
カラカラ・・・・
引き戸が開いた。
「えっ・・・?」
真栗が顔を出す。
無言で教室に入ってくると、まおらの1つ後ろの席に腰を下ろした。
表情が見れないまま、まおらは仕事を続ける、ふりをした。
「反則」
「は?!」
思わず振り向く。
真栗は怒ったような顔をしていた。
「強いこと言って、後で泣くんは、反則だって言っとんじゃ」
「・・・泣いてなんかない」
むすっとした顔をしてまおらが言う。
実際、本当にほんの一滴だけだった。
ふと席を立った真栗はまおらの横に来ると、いきなりまおらの顔に右手を伸ばしてきた。
ビクッ、反射的にをつぶる。
あたたかい手の甲が、優しく目の下と頬に触れた。
「くま、すーごいぞ?」
少しだけ優しい顔をして、真栗が言った。
自分の顔が赤くなっているのに気づきながら、
「・・・寝てるよ」
やっぱり無愛想に手をどける。
「顔しか取り柄ねぇのに」
スパァァンっ
書類は思い切り真栗の額に命中。
「いっ、てーーーーーーー;;;」
「何言ってんの!サイアク!!!調子乗るなっばかまぐ!!!!」
「だーかーら、・・・ん。」
・・・いつから持ってきていたのだろう。気づかないはずなかったのに。
茶色い紙のバッグから、真栗が差し出したもの。
白いトールサイズの紙のコップに、茶色いスリーブ。
中身なんて、香りだけで分かる。
「キャラメルマキアート・・・」
ふたを開けると、コーヒーとキャラメルの優しい香りが湯気と共にふわっと立ち込めた。
滑らかな泡は、コーヒーが本当に下にあるのかさえ分からない程にたっぷりとカップ占めていて、
その上にびっしりと細やかな網目を描くソースのうす茶から純白をちらほらと覗かせていた。
「これ・・・」
「だからさ、少し休め、な?」
そのまっすぐな目に、まおらは何も答えられなくなって下を向くと、ひとくちすすった。
・・・あ、この味。・・・・・・降参だ。
「しかもホイップ増量、ソースもおおめ。良く覚えてるんだね」
少し笑ってまおらが言う。
いや、実際は相当に嬉しかったのだ。
「ま、ねー」
ブラックをゆっくり飲み込むと、真栗が言った。
「つかソレ、甘すぎだろ?」
「甘いのがいーんでしょー?」
目を閉じてゆっくりと飲み込む。
キャラメルの甘いかおりは、まおらの心をすっかりほぐしていた。
コーヒーの香りが立ち込める、二人だけの、
ゆったりした空気。
・・・でも真栗には、まだそれを続ける勇気がなかった。
「・・・っ、ホレ、いつまでのんびりしとるんじゃ!やんなきゃ帰れねーんだぞ?!」
「わーかってるよぅ!もう!!」
「俺はその辺で待ってるけん!とっとと済ましちゃえよー」
そういって、背を向けながらひらひらと手を振って、真栗は部屋から出て行った。
そうしてから、まおらはもう一口味わって、呟いた。
「・・・アリガト」
やっぱり、面と向かっては言えなかったのだけれど。
お祭りの空気は、ほんの少しだけ二人を優しくさせた。
まおらが窓の外をふと見ると、澄んだ夜空には星がきらきらしている。
廊下の窓から、ポケットに手を突っ込んだ真栗もそれを見ていたのは、
お互いに気づいていなかった。
(おしまい)
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とうに沈んだ夕日、
花火の残り香。
まさに 「祭りの後の静けさ」。
文化祭も無事終了。
あんなににぎやかだった校内にも、もう人影はまばらだ。
しかし文化祭実行委員もかねている生徒会の面々には当然、
まだ後始末がたっぷりと残っていた・・・・・・
「あーっ!!もうっ、何でココ計算合わないの!!!!」
企画・会計のまおらも空き教室で一人、ここ何時間も帳面と電卓とにらめっこをしている。
生徒会のブレーンと呼ばれ、成績も校内2位が定位置の(しーずんたまに抜くもん!!(本人談))まおらではあるが、
流石にこれだけの大イベントの領収書だのなんだのをまとめるのは正直、しんどい。
「(もーっ、頼むからみんな、ちゃんとしといてよ~)」
この場にいない一般生徒達に言っても何にもならないのではあるのだが。
・・・ガラッ。いきなり戸が引かれる音がした。
「?!」
「お、なんじゃお前そこにいたんけ」
見慣れた迷彩柄。そして見慣れすぎた金髪。
「まっ真栗!おどかさないでよもう~」
思わず落としたペンを拾いながらまおらが言う。
「なんかしーずんとか灰音とかもいつの間にかいねーし、他のみんなもいい加減帰るって言ってるぞ」
閑雅や灰音がどうしているかは別の問題として。
時計は8時を過ぎていた。
しかし書類の束は山積みだ。
「あーうんー・・・いいや。あたしもうちょっとやっちゃう。」
「ふーん、そっか。わかった。・・・おー、なんじゃこれ、まだ片付いてないんか?すごい量じゃのう」
・・・余計な一言。全く悪気はないのだろうが、そのひょうひょうとした態度が、疲れきっているまおらをカチンとさせてしまった。
「はいはいそーなの、そーなんです。あたしは仕事が遅いの。
分かったからホラ、さっさと出てってよ」
あからさまに嫌な顔をして、しっしっと手で追いやるまおら。
「なっ、そんな言い方ないじゃろ?!!」
「うーるさいなぁ!集中できないの!早く帰ってよ!!」
・・・一瞬、真栗が冷たい目をした。
「・・・わかった。じゃあな」
ピシャッ。
残されたのは、遠ざかっていく足跡と、そして、沈黙。
(つづく)
もう我慢が出来なかった。
たった一言に理性を奪われて。
「あっ、真栗、痛いってー;んっ」
まだ泣き止んでいないまおらを強く強く抱きしめる。
腕を回して、顔を髪に押し付ける。爽やかな香り。あまりにも軽く流れる茶色の髪。
ようやく、言ってくれた。
すき、って。
ようやく、言えたんだ。
まおらを守るって。
それがあまりに嬉しくて嬉しくて。
ようやく抱くことが出来た身体に欲望のままにしがみつく。
初めてなのに懐かしいのはなんでなんだろう。
むかしずーっとひっついて遊んでたから、かな。
誕生日は俺のが少し後だけど、体つきが一回り小さい。
確かにこいつは男で、それはこの学校で俺が一番知ってるんだけど、
でもなぜかやわらかかった。
俺の、せいかな。
こんな格好ずっとさせてきた。
「だーかーら、痛いってっ!!」
バシッ。
胸の辺りを強くたたかれた。いってぇ;
ここでようやく我に返った。
まおらは髪も乱れて、真っ赤な顔で怒っていた。
「もー!だからまおらは真栗のおもちゃじゃないっての!勝手に抱くな!!」
口をとがらせて、怒っている。
「ごっ、ごめん;・・・・いや、うわっゴメン!!!!」
俺の理性一気に帰還。いままで遥か彼方にいってたのだとようやく気づく。
「なっ、俺、うわっ・・・・!!/// すまんまおら!悪気はなかったんじゃ!!」
しどろもどろに話す。たぶん今は俺の顔のが真っ赤だろう・・・
「(じっ・・・)」
上目遣いにやられて動けない。蛇に睨まれたなんとかか・・・?
「なんか、言うことは?」
上目遣いのまま、まおらが言う。
「えっ、と・・・・・・・キスさせてくれ!!」
・・・ちーん。
なに言ってんだ俺。
うわーなに言ってんだまーぐりーーーーーー!!
瞬間、
ふわっと風が吹いた。
慌てる俺の頭がつかまれて、唇に何かあたる。柔らかくて、甘い。
まおらの手と細い指が俺の耳から頭を包み、顔を傾けたまおらの目は閉じていた。
ほんの一瞬。
今はいたずらっぽく笑ったまおらが目の前に立っている。
「帰ろっ真栗!!」
駆け出したあいつの後ろからゆっくり歩く。
大丈夫。まおらは俺を置いていかない。
俺もまおらを置いていかない。
二人はもう、離れない。
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