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もう我慢が出来なかった。
たった一言に理性を奪われて。
「あっ、真栗、痛いってー;んっ」
まだ泣き止んでいないまおらを強く強く抱きしめる。
腕を回して、顔を髪に押し付ける。爽やかな香り。あまりにも軽く流れる茶色の髪。
ようやく、言ってくれた。
すき、って。
ようやく、言えたんだ。
まおらを守るって。
それがあまりに嬉しくて嬉しくて。
ようやく抱くことが出来た身体に欲望のままにしがみつく。
初めてなのに懐かしいのはなんでなんだろう。
むかしずーっとひっついて遊んでたから、かな。
誕生日は俺のが少し後だけど、体つきが一回り小さい。
確かにこいつは男で、それはこの学校で俺が一番知ってるんだけど、
でもなぜかやわらかかった。
俺の、せいかな。
こんな格好ずっとさせてきた。
「だーかーら、痛いってっ!!」
バシッ。
胸の辺りを強くたたかれた。いってぇ;
ここでようやく我に返った。
まおらは髪も乱れて、真っ赤な顔で怒っていた。
「もー!だからまおらは真栗のおもちゃじゃないっての!勝手に抱くな!!」
口をとがらせて、怒っている。
「ごっ、ごめん;・・・・いや、うわっゴメン!!!!」
俺の理性一気に帰還。いままで遥か彼方にいってたのだとようやく気づく。
「なっ、俺、うわっ・・・・!!/// すまんまおら!悪気はなかったんじゃ!!」
しどろもどろに話す。たぶん今は俺の顔のが真っ赤だろう・・・
「(じっ・・・)」
上目遣いにやられて動けない。蛇に睨まれたなんとかか・・・?
「なんか、言うことは?」
上目遣いのまま、まおらが言う。
「えっ、と・・・・・・・キスさせてくれ!!」
・・・ちーん。
なに言ってんだ俺。
うわーなに言ってんだまーぐりーーーーーー!!
瞬間、
ふわっと風が吹いた。
慌てる俺の頭がつかまれて、唇に何かあたる。柔らかくて、甘い。
まおらの手と細い指が俺の耳から頭を包み、顔を傾けたまおらの目は閉じていた。
ほんの一瞬。
今はいたずらっぽく笑ったまおらが目の前に立っている。
「帰ろっ真栗!!」
駆け出したあいつの後ろからゆっくり歩く。
大丈夫。まおらは俺を置いていかない。
俺もまおらを置いていかない。
二人はもう、離れない。
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