04 | 2024/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
もう我慢が出来なかった。
たった一言に理性を奪われて。
「あっ、真栗、痛いってー;んっ」
まだ泣き止んでいないまおらを強く強く抱きしめる。
腕を回して、顔を髪に押し付ける。爽やかな香り。あまりにも軽く流れる茶色の髪。
ようやく、言ってくれた。
すき、って。
ようやく、言えたんだ。
まおらを守るって。
それがあまりに嬉しくて嬉しくて。
ようやく抱くことが出来た身体に欲望のままにしがみつく。
初めてなのに懐かしいのはなんでなんだろう。
むかしずーっとひっついて遊んでたから、かな。
誕生日は俺のが少し後だけど、体つきが一回り小さい。
確かにこいつは男で、それはこの学校で俺が一番知ってるんだけど、
でもなぜかやわらかかった。
俺の、せいかな。
こんな格好ずっとさせてきた。
「だーかーら、痛いってっ!!」
バシッ。
胸の辺りを強くたたかれた。いってぇ;
ここでようやく我に返った。
まおらは髪も乱れて、真っ赤な顔で怒っていた。
「もー!だからまおらは真栗のおもちゃじゃないっての!勝手に抱くな!!」
口をとがらせて、怒っている。
「ごっ、ごめん;・・・・いや、うわっゴメン!!!!」
俺の理性一気に帰還。いままで遥か彼方にいってたのだとようやく気づく。
「なっ、俺、うわっ・・・・!!/// すまんまおら!悪気はなかったんじゃ!!」
しどろもどろに話す。たぶん今は俺の顔のが真っ赤だろう・・・
「(じっ・・・)」
上目遣いにやられて動けない。蛇に睨まれたなんとかか・・・?
「なんか、言うことは?」
上目遣いのまま、まおらが言う。
「えっ、と・・・・・・・キスさせてくれ!!」
・・・ちーん。
なに言ってんだ俺。
うわーなに言ってんだまーぐりーーーーーー!!
瞬間、
ふわっと風が吹いた。
慌てる俺の頭がつかまれて、唇に何かあたる。柔らかくて、甘い。
まおらの手と細い指が俺の耳から頭を包み、顔を傾けたまおらの目は閉じていた。
ほんの一瞬。
今はいたずらっぽく笑ったまおらが目の前に立っている。
「帰ろっ真栗!!」
駆け出したあいつの後ろからゆっくり歩く。
大丈夫。まおらは俺を置いていかない。
俺もまおらを置いていかない。
二人はもう、離れない。
お気に召したら(Web拍手)→http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=finesnow
真栗は馬鹿だ。
金髪に迷彩服。
ヤクザみたいなナリしてるくせに、
・・・くせに、
弱虫。
いくじなし。
あいつが男を好きになってからというもの、
しーずんの前にも、何人も
「あいつタイプだ」
「絶対落とす!!」
・・・って。
毎回毎回あたしに言うんだ。
で、結局告白できずじまいでお別ればっかり。
あーだこーだと言い訳をしてさ。
いっつも半べそ。
いっつも。いつも・・・
いつも、って言葉がかすれちゃう程、
まおらはいつも隣にいるんだよ。
意地っ張りなのはお互い様。
だからそっぽ向き合っちゃう。
わかってるんだけどさ。
でも・・・
夕焼けを見て。
流れ星みつけて。
どうしたって。
真栗に触れたくなる。
もちろん隣にいる時はその手を。
好きだからそばにいたくて
離れるのが怖いからしらんぷり。
くるくる回る矛盾の嵐。
馬鹿なのもお互い様、かもね。